(警備業の要件)
第3条 次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった囗から起算して5年を経過しない者
三 最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であって、当該命令又は指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第10号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
九 営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の 区分(前条第1項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第22条第1項の警備員指導教育責任者を選任すると 認められないことについて相当な理由がある者
十 法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第1号から第7号までのいずれかに該当する者があるもの
十一 第4号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じてその事業活動に支配的な影響力を。有する者
第3条の解説
第3条の解説
(1)1号に掲げる者
「成年被後見人」とは、精神上の障害(痴呆、知的障害、精神障害等)により判断能力(事理を弁識する能力)を欠く常況にある者、「被保佐人」とは、精神上の障害により判断能力力墸:しく不十分な者で、それぞれ家庭裁判所において後見開始の審判又は保佐開始の審判を受け、法務大臣の指定する法務局に登記された者をいう。
(2)2号に掲げる者
「執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった」とは、現実に刑に処せられたことが前提であり、執行猶予を受けたため刑に処せられずその猶予期間を終了した者及び大赦や特赦により刑の言い渡しの効力がなくなった者は、刑に処せられた者に当たらないので、本号には該当しない。つまり、執行猶予の期間を無事終了した者は、その猶予期間に関係なく、また大赦や特赦により刑の言い渡しの効力を失うに至った者は、他の欠格事由がない限り警備業者や警備員になれるのである。
(3)第3号に掲げる者
「最近5年間」の起算日となるのは、検挙された日ではなく
重大な不正行為をした日である。
「警備業務に関し」とは、警備業務を行うに当たって違反が行われた場合、警備業者又は警備員の立場を利用して違反が行われた場合等、警備業務に密接に関連して違反が行われた場合をいい、勤務時間中の行為であってもまったくの私行上のものや、金銭取引等の営業上のものは含まれず、勤務時間以外の行為であっても、警備業者や警備員の立場を利用して行われた場合は含まれる。
また、本号及び第4号でいう「国家公安委員会規則」とは、「警備業の要件に関する規則(昭和58年1月10日 国家公安委員会規則第1号)」のことを指す。
(4)第4号に掲げる者
本号は、警備業者又は警備員から暴力団関係者等を排除するために設けられたものである。
(5)第5号に掲げる者
本号中の「暴力団による不当な行為の防止等に関する法律」 第12条中の規定による「命令を受けた者」とは、暴力団員に暴力
的要求行為をするよう依頼したり、暴力団員による暴力的要求行為をその現場で助けたため、公安委員会から再発防止命令や
中止命令を受けた者をいい、同第12条の6の規定による「命令を受けた者」とは、指定暴力団等に所属していない者が、指定暴力団等の名刺やバッジを借りるなどして、人に対して指定暴力団等の威力を示し、不当な要求を行うような準暴力的要求行為を行ったため、公安委員会から中止命令や再発防止命令を受けた者をいう。また、同第12条の4第2項の規定による「指示を受けた者」とは、指定暴力団等の暴力団員から、先に述べたような準暴力的要求行為を行うよう求められた者のうち、その暴力団員と元々密接な関係を有することなどから、そのまま放置すると準暴力的要求行為を行いかねないために、公安委員会から準暴力的要求行為をしてはならない旨の指示を受けた者のことをいう。
(6)第6号に掲げる者
本号に該当する者が警備業を営むことを禁止したのは、これらの者は、一般的に判断力、自制力に欠けるところがあり、さらには、他人の生命、身体及び財産を侵害するおそれもあると 考えられるので、適正な警備業務の管理運営を期待し得ないと認められるからである。
(7)第7号に掲げる者
本号に該当する者が警備業を営むことを禁止したのは前号と同じ理由であるが、該当の有無については、精神障害者であれば一律に欠格となるものではないことに留意する必要がある。
精神機能の障害に関する医師の診断書の提出を受けて、業務を適正に遂行する能力を有するかどうかという観点から判断すべきものであり、例えば、軽度のうつ病と診断されていても、警備業務を適正に行い得ると医師の診断書等から認められるような者は、この欠格要件に該当しない。
(8)第8号に掲げる者
「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、未成年者の中で親権者又は後見人から営業を営むことについて許可されたもの、及び婚姻をして成年者とみなされたもの以外の者をいう。
未成年者でいったん婚姻をして成年者とみなされたものが離婚した場合にあっては、その後も成年者とみなされる。ただし書きは、その者が警備業者の相続人である場合には、法 定代理人が当該未成年者に営業の許可をしている場合において、その法定代理人が警備業の要件に該当していない場合に、警備業を営めることとしたものである。
「法定代理人」とは、本号においては親権者又は後見人を指す。「親権」とは、両親又は父、母のいずれか一方が有し、その子の財産に関する法律行為についてその子を代表する等の行為ができる。「後見人」とは、親権者となるべき両親がいない(死亡又は失踪している、その能力がない、やむを得ない事由で両親が辞退した等)場合、最後に親権を有していた者の遺言又は家庭裁判所の選任によって決定される。
(9)第9号に掲げる者
「警備業務の区分ごとに・‥警備員指導教育責任者を選任すると認められない」とは、その区分の警備業務を開始するまでに、当該警備業務の区分に係る警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者を警備員指導教育責任者として選任できる状況に至る見込みがないことを意味し、「相当な理由がある」場合としては、警備員指導教育責任者の選任予定者が確定していない場合、当該営業所に勤務することが不可能と認められる者を選任予定者としている場合等がこれに当たる。
(10)第10号に掲げる者
「役員」とは、業務を執行する社員、取締役、執行役及びこれらに準ずる者が該当する。
「業務を執行する社員」とは、会社法第590条に規定する持分会社の業務を執行する社員のことをいい、また、「取締役」とは、株式会社におけるものをいう。「執行役」とは、会社法第2条第12号に規定する委員会設置会社に置かれ、その業務執行等を行う者のことをいい、「これらに準ずる者」とは、株式会社の監査役、財団法人及び社団法人の理事並びに監事等のことをいう。 また、法人に対して「同等以上の支配力を有するものと認められる者」に該当するか否かの判断は、その者が自己の地位や権限などに基づいて法人の意思決定に関し、どの程度実質的な影響力を及ぼし得るかについて、個別具体的に検証されることとなる。
(11)第11号に掲げる者
本号の「支配的な影響力を有する者」の範囲は、一般に、前号の「同等以上の支配力を有する者」よりも広いと解され、また、法人のみに適用される前号と異なり、本号は、個人業者にも適用される欠格事由である。
一方、前号は警備業法第3条第1号から第7号までのいずれかの欠格事由該当者が支配力を有する場合に適用される欠格事 由であるが、本号は、暴力団員等が支配的な影響力を有する場合に限って適用される欠格事由である。典型的には、暴力団員等が自己又は他人の名義で多額の出資や融資をしたり、多額の取引関係を持っている相手方が、これを背景として当該暴力団員等から事業活動に支配的な影響力を受けている場合が該当する。また、「その他の関係」とは、親族関係、人的派遣関係、株式所有関係等、種々の関係が含まれる。
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